Joe Alter の Patent(hair)問題が解決したようです

CG/VFX 界隈では, よく知られた特許問題がありました.

– Pixar のモンテカルロサンプリング(=> 特許切れ)
– Mental images の準モンテカルロサンプリング(=> Pixar のモンテカルロサンプリングに対抗したものと思われる. 特許は有効であり, 一時は VRay が販売差し止めになったこともあったらしい? 最近では Pixar(RenderMan)にライセンスしたりしたようですが, 昨今の機械学習デノイズなどの登場により, あまり実務で利用する価値はほぼ無くなった気がします)
– Microsoft のなんかグラフィックス関連の特許が, 上記モンテカルロ or 準モンテカルロとクロスライセンスしていたような?
– SGI の浮動小数バッファ特許(=> 特許は patent pool 会社が買い取り, モバイル GPU メーカーに特許料徴収を目論んでいたようですが, 期限切れになりました https://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=OpenGL-Texture-Float-Freed)
Joe Alter(個人事業主?)による Hair の生成方式 https://patents.google.com/patent/US6720962B1/en

Joe Alter の Hair 特許は, 特に hair 関連業界(?)では有名で, これを侵害することなく hair/fur 関連技術を利用するのは難しかったようです. Joe Alter が, Autodesk に hair 特許をライセンスしたものの, Disney の XGen を Autodesk が買い取った(?)ことにより, Disney と訴訟になって揉めたりしたり(結果はどうなったのかしらん?),

Yeti に代表される関連ソフトウェアを販売差し止めなど, かなり広範囲に特許を活用していました.
(ちなみに, Joe Alter 特許は US でのみ申請されており grant され, US のみ有効なので, , Yeti は US 以外の国では販売できました)

Yeti fur plugin will not be sold in the United States
http://www.cgchannel.com/2012/05/yeti-fur-plugin-will-not-be-sold-in-the-us/

転機

そんなつよつよな Joe Alter 特許ですが, 2021 年 06 月 15 日まで有効であるので, あと 2 年くらいは静観かな, と思っていた矢先に, 衝撃的(?)な Epic Games(Unreal Engine)による買収がありました(Epic Games はバーチャルヒューマン関連を強化したいようで, rigging 関連を行う 3lateral も買収しています).

そして, Shave and a haircut(Joe Alter の hair モデリングソフト) のソースコードはオープンソース化されました(2019 年 10 月 23 日)

https://www.unrealengine.com/en-US/blog/shave-and-a-haircut-v9-6-for-maya

ソースコードがオープンであるのと, 特許というのは別物であり, ソースコードがオープンであるから特許の利用(grant)も OK というわけでは必ずしもありません. また, Patent の情報を見る限り, Epic Games が権利を保持していて有効なままなのは変わりません.

Shave and Haircut のコードには, UE4 の license(EULA) が適用されるようなので, 基本的にはUE4(Shave and Haircut)に対して特許侵害してはならないという条項はあるのですが, しかし, 実情はおおらかな対応のようです.
詳細は不明ですが, この買収劇により, Yeti も US で販売再開となりました.

Yeti fur plugin goes back on sale in the United States
http://www.cgchannel.com/2019/07/yeti-fur-plugin-goes-back-on-sale-in-the-united-states/

そんなわけで, hair 関連のツールを作って販売したりサービス提供というのも, 障壁がさがってきた感がありますね.

昨今, ソフトウェア関連においては, MPL 2.0 や Apache 2.0 のライセンスでオープンソースソフトウェアが配布されることが多くなり, 特許は grant するが, ただし特許侵害したら grant は無効にするよ, という特許の防衛的な利用が増えてきて, 特許(使用料)だけでがっぽがっぽ, みたいな風潮は無くなってきたような気もしますね.
(Facebook が, BSD だと特許条項がないので, 特許項目を追加したライセンス形態を提案していましたが, なにやらいろいろ反対の目にあい MIT に変更などがありました. MIT には特許条項がないのでこれはこれで問題はありそうではありますが. https://hackernoon.com/facebooks-bsd-patents-license-and-how-it-affects-you-66088e052845 )

補足

ちなみに, XGen はもはや開発者がおらず, メンテナンス(Maya Xgen)もままならない状態のようです(XGen Interactive Grooming(XGen と名前が付いているが, 別物に近い)は開発者が別なので, 細々とアップデートされているようではあります).

VFX 関連の hair 業者(?)からは, Shade and a haircut は微妙という話も聞きますので, 独自の hair ツールの制作の機運が高まります.

最近ではレイトレーシングベースの hair 関連業務を行っていますが, まだまだやるべきことはたくさんあります. 優秀な hair 若人さまを合法的なあらゆるどんな手段を使ってでも探し出し, 研究委託なりお仕事発注なり出資なりして, ツール作っていただく旅に出たい.

 

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