サブプライム問題とは何か

by syoyo

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サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉
春山 昇華
http://www.amazon.co.jp/dp/4796661557
http://www.doblog.com/weblog/myblog/17202/2621452#2621452
(著者 HP)

ついに本書を手に入れました。
サブプライム問題という、いかにも今話題のネタに便乗して出している本ではありません。
著者はすでに 4 年前からずっとこの問題を追いかけてきかとか…
著者のブログの記事の品質の高さを見れば、
この本(ブログ記事が原稿)が話題に便乗したものではなく、
非常に貴重で信頼のおけるものだというのがわかります。

たとえば、同じく今話題のネタではおちゃらけた web 2.0 がありますが、
どこぞのよくある web 2.0 本が内容もほんとおちゃらけていて失望しました。
本書はそれらとは比べ物にならないくらい物事をきちんと精査してあります。
(ブログでは物事をしっかりと書いてあるけれども、本になるということで
なるたけ分かりやすい(売れやすい)ように書き直したそうですが)

内容は非常にサブプライム問題というのを分かりやすく書いており、
非常に参考になります。

キーワード

本書からいくつかキーワードをとりあげてみます。

– 証券化
– サブプライム問題の本質は、金融技術の進化
– 金融技術の進歩はリスクを他人に押しつけ、モラルを喪失させた
– 新時代の危機に対応する手段を、まだ中央銀行はしらない

要は、今回のサブプライム問題も、LTCM のときのように、
金融工学(数理ファイナンス)がうまい言い訳にされて、
イケイケどんどん、リスクを顧みない投資が行われたことに起因したように思える。

まあ世の中は効率的市場は完全にはあり得なくて、
ときどき人間の欲望によって非常に非効率的(バブル)になる、ということでしょうか。

レンダリングに置き換えると…

今回のサブプライム問題は、レンダリングにも非常に有効なネタがあると思います。

– 証券化
たとえばいろんな細々なレンダリングアルゴリズムをまとめて、一つのより大きなアルゴリズムを作る。
MLT とフォトンマップと分散レイトレを X:Y:Z の割合でまぜると、
あら不思議とってもよいレンダリング結果が得られました。みたいな。
どっちかというとこれは、証券化よりはマーコビッツの効率的フロンティアのほうがこれを表現するには適切
だろうか。

– 行動ファイナンス
効率的な市場(unbiased)では面白くなくて、やっぱり人間臭い部分も考えて(biased)、
うまいレンダリング方法を考える。アノマリーとか。
基本 MLT だけど、ここはコースティクスが出やすい場所なので、
biased なアルゴリズムなので気に入らねーけど出る絵がきれいになるからフォトンマップ
使ってやるか、みたいな。
でもあんまり人間臭くなると NPR とか、
アートディレクションの世界になるので注意が必要。

– 金融技術の進化
レンダリング技術も日々進化しているが、いつかどこかでこのサブプライム問題のように、
根幹から大きく揺らいでしまう事件があるかもしれない。
技術がややこしくなりすぎて、誰もそんな複雑なレンダラを使いたがらなくなるとか、
だれもそんなややこしい方面の研究の道に行くひとがいなくなるとか。
(後者は現実と化してきているかもしれない…)

本当の戦いはこれからだ…

サブプライム問題は、LTCM 破綻以降いまもっとも面白い金融事件だと思います。
(しかも LTCM のときよりもさらに深刻)
この問題はここからが本番で、この問題の先行きが、

– ドル安でドルが基軸通貨から引きずりおろされる
– メリケン経済の後退 -> 経済大国からの失墜
– アジア(インド)の覇権の復活
(産業革命で欧米はアジアから覇権を奪った。
こんどは IT 革命によりアジアが欧米から覇権を奪取することになる)

という世界経済の構造が大きく変わるかどうかのターニングポイントになるからです。
いやー、リアルタイムでこの動きを体感できるなんて、私はなんて運がいいのでしょうか。

CPU だ、GPU だ、いやいや GPGPU だなんてことで議論している場合じゃないね。
そんなことよりもっとおもしろいことが世界規模で起こっているのですから。

# ちなみに、サブプライム向けローンで使われたものに
# NINJA ローンというものがあったのを本書でしりました。
# No Income, No Job, (and) no Assets.
# ちょっと笑った。ホントメリケン人はニンジャ好きですね。

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